録画講義の使い方 ― 216コマを数えたら、録画38本が対面講義より多かった

学習システム化

録画された講義動画の使い方について、私が長いこと誤解していたことがあります。「対面の講義の補助」だと思っていたことです。時間割を数えてみたら、その前提が間違っていました。

1学期分の予定を集計すると、216コマ・297.8時間。その内訳がこうでした。

  • 実習 ―― 145コマ(全体の67%)
  • 対面の講義 ―― 33コマ
  • 録画講義 ―― 38コマ

録画のほうが、対面の講義より多い。補助どころか主力です。しかも録画には他の枠に無い性質があります。216コマのうち、いつ取り組むかを自分で決められるのはこの38本だけだということです。この記事は、そこを前提に組み直した使い方の記録です。

録画は「唯一やわらかい枠」として扱う

時間割の中で、実習145コマは時間も場所も動かせません。対面講義33コマも同じです。合計178コマ、全体の82%が固定された予定で、こちらの都合は一切通りません。

残る38本の録画だけが、いつ見るかを自分で決められます。この違いは、使い方を根本から変えました。録画は「見なければならない課題」ではなく、週ごとの負荷を調整するための緩衝材だと考えるようになりました。

私の週の拘束時間は12.8時間から23.2時間まで、1.8倍振れます。重い週に録画をきっちり消化しようとすると破綻し、軽い週に何もしないと後半に積み上がる。振れを吸収できる唯一の項目が録画だったわけです。

オンライン授業を受ける学生のイラスト

38本のうち18本が、最初の1か月に来る

配信の時期を数えて、はっきりした偏りが出ました。

時期録画の本数全体に占める割合
学期の最初の1か月18本47%
残りの期間20本53%

ほぼ半分が最初の1か月に固まっています。この偏りには、危険と好機の両面があります。

  • 危険 ―― 序盤にため込むと後半まで残り、試験期に「未視聴が20本」という状態になる
  • 好機 ―― 序盤は対面の拘束が比較的軽いので、ここだけは前倒しが効く

私は前の学期に前者をやりました。「あとで見られるから」と後回しにして、気づいたら未視聴が積み上がっています。いつでも見られるという性質が、そのまま後回しの理由になるのが録画の厄介なところでした。


「配信週に見る」をやめて、残数で管理する

最初に試したのは「配信された週のうちに見る」というルールでした。これは失敗しました。配信が最初の1か月に47%偏っているので、その期間だけ達成不可能になるからです。

そこで管理の形を変えました。今のルールはこれだけです。

未視聴の残数が、週をまたぐたびに減っていればよい。

週あたりの本数は決めません。軽い週に4本進めてもいいし、拘束23時間の週は0本でも構わない。見るのは「今週何本見たか」ではなく「残りが先週より減ったか」です。

この形にした理由は2つあります。1つは前述のとおり、週の負荷が1.8倍振れるから。もう1つは、ノルマ未達の週が続くと、ルールごと使われなくなるからです。達成できない基準は、守られないだけでなく、管理そのものを放棄させます。

実際の運用では、残数を1か所に書いておくだけです。38から始めて、減っていく数字を見る。進捗が数字1つで表せるので、確認に時間がかかりません。

ノートパソコンで作業する人のイラスト

倍速は科目ではなく「目的」で変える

倍速については「この科目は1.5倍」といった決め方をしていましたが、うまくいきませんでした。同じ科目でも、回によって内容の密度がまるで違うからです。

今はその動画を何のために見るかで決めています。

目的速度やり方
全体像をつかむ(初見)速め止めずに通す。分からない箇所に印だけ付ける
理解する(2回目)等速印を付けた場所だけ。止めながら
確認する(試験前)最速思い出せるかの確認。詰まったら止める

1回目を速く通すのが、結果的に一番速いというのが実感です。最初から等速で丁寧に見ると、どこが重要か分からないまま全体に同じ時間をかけることになります。1回通しておけば、2回目に時間を割く場所が決まります。

ただし、外国語で行われる講義では速度を上げすぎると別の問題が出ます。内容が難しいのか、聞き取れていないだけなのかの区別がつかなくなることです。ここが曖昧になった時点で速度を落とすようにしています。


メモは動画を止めて取る ― 止めないなら取らない

これははっきり決めています。再生しながらメモを取るのはやめました。

理由は、書いている間の音声が頭に入っていないからです。対面の講義なら仕方ありませんが、録画は止められます。止められるのに止めずに書くのは、録画である利点を捨てて対面の欠点だけを引き受けている状態でした。

運用はこうしています。

  • 1回目はメモを取らない。分からない箇所に印を付けるだけ
  • 2回目に該当箇所で止めて、自分の言葉で書く
  • 書く内容はスライドの写しではなく、自分がつまずいた点に限る

3つ目が重要でした。スライドは後から見返せるので、書き写す価値がありません。後から手に入らないのは「自分がどこで分からなくなったか」だけです。ここだけを残すようにしたら、メモの量が減り、見返す頻度は逆に上がりました。



復習は「24時間以内」ではなく「次の実習の直前」に置く

視聴後の復習について、以前は「24時間以内にやる」というルールを使っていました。記憶の観点では理にかなっています。ただ、自分の時間割に当てはめると噛み合いませんでした。

理由は、この学期の中心が実習だからです。実習145コマ、全体の67%。録画で学んだ内容が実際に問われるのは、視聴の24時間後ではなく、その範囲の実習がある日です。そこは数日後かもしれないし、翌週かもしれません。

そこで復習の置き場所を変えました。

タイミングやること
視聴した直後つまずいた点のメモを残すだけ(数分)
該当する実習の直前そのメモを見返す(本命)
試験前最速で通して、思い出せるか確認する

実習の直前というのは、私の場合は昼の空きコマです。ここは実習の予習に使うと決めてあるので、録画のメモを見返す場所としてそのまま使えます。復習の枠を新しく作る必要がありませんでした。

この形にしてから、録画を見た内容が実習中に出てくる頻度が明らかに上がりました。復習は「早くやる」より「使う直前にやる」ほうが、少なくとも実習中心の学期では効いたというのが実感です。


「見ない」という判断も、残数管理の一部にする

残数で管理すると決めたとき、一つ問題が出ました。減らない週が続くと、数字がただの罪悪感になることです。

そこで、残数を減らす方法を2つ認めることにしました。

  • 見る ―― 通常の消化
  • 見ないと決める ―― 内容を確認したうえで、優先度が低いと判断して外す

2つ目を認めたのは、全部を同じ密度で見る前提が現実的でなかったからです。38本の中には、すでに実習で扱った内容の再説明や、他の資料で足りるものが含まれます。それらを「いつか見る」として残し続けると、残数はいつまでも減りません。

ただし条件をつけています。外すときは、必ず冒頭を数分だけ見てから決める。タイトルだけで判断すると、後で必要だったと分かることがありました。数分の確認を挟むだけで、判断の精度がかなり変わります。

この運用にしてから、残数が単調に減るようになりました。進捗が止まらない仕組みにしておくことが、管理を続けるうえで一番効いたと思っています。

昼の空きコマに録画を入れなかった理由

私の時間割には、拘束11時間の日の真ん中に6時間15分の空きコマがあります。学期を通すと100時間です。ここに録画を入れるのが自然に見えました。実際、最初はそうしていました。

結論としては、入れないことにしました。理由は2つあります。

1つは、その空きコマの後に実習が2つ控えていることです。その日の実習の予習に使ったほうが、直後のリターンが大きい。予習をしておくと、実習が「初めて見る場所」ではなく「答え合わせの場」になります。

もう1つは、録画は場所を選ばないことです。空きコマは校舎の中にいる時間なので、そこでしかできないこと(実習の直前確認)に使うほうが合理的でした。どこでもできるものを、限られた場所に割り当てる必要はありません。

この整理をしてから、録画は移動中や自宅の細切れ時間に寄せています。やわらかい枠は、やわらかいまま使う。固定された時間に押し込むと、緩衝材としての役目を果たせなくなります。

❓ よくある質問

Q1. 何倍速がおすすめですか?
数字を決めていません。目的で変えています。強いて言えば、初見で全体をつかむときは速め、理解したい箇所は等速です。外国語の講義では、内容が難しいのか聞き取れていないのかの区別がつかなくなった時点で落とすのを基準にしています。
Q2. ためてしまったときはどう消化しますか?
全部を等しく見ようとしないことです。私は残っている本数を数えて、試験範囲に直結するものから順に並べ替えます。38本すべてを同じ密度で見る前提だと、量に圧倒されて手が止まりました。優先順位をつけると、見ない判断も含めて進みます。
Q3. 対面の講義と録画、どちらが身につきますか?
私の場合は録画のほうが定着します。止められること、聞き直せること、速度を変えられることが大きいです。ただしこれは「止めながら2回見る」という前提での話で、再生しっぱなしにするなら対面のほうがましだと感じています。
Q4. 視聴の記録はつけていますか?
残数だけです。見た日付や時間は記録していません。管理項目を増やすと、管理そのものが面倒になって続きませんでした。38から減っていく数字が1つあれば、進んでいるかどうかは判断できます。

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まとめ

  • 1学期216コマのうち録画は38本。対面講義33本より多く、補助ではなく主力
  • 録画はいつ見るかを自分で決められる唯一の枠。週の負荷の緩衝材として使う
  • 配信は最初の1か月に47%(18本)偏る。前倒しが効くのはここだけ
  • 管理は「配信週に見る」ではなく「残数が減っていればよい」
  • 倍速は科目ではなく目的で変える。1回目を速く通すのが結局速い
  • メモは止めて取る。書くのはスライドではなく「つまずいた点」だけ
  • 校舎にいる時間には、そこでしかできないことを割り当てる

録画講義を「便利な補助」として扱っていた頃、消化は常に遅れていました。数えてみたら、それは補助ではなく講義の過半でした。位置づけを間違えていたので、扱いも間違っていたということです。時間割を集計すると、こういう思い込みが1つずつ潰れていきます。

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