試験直前の1週間について、私が最初に確認するのは参考書でも計画表でもありません。その週の授業の時間割です。
理由は単純で、試験の直前だからといって授業が止まるわけではないからです。私の学期は週あたりの拘束が12.8時間から23.2時間まで、1.8倍振れます。直前週がたまたま23時間の週なら、使える自習時間は普段より4〜5時間少ない。ここを知らずに計画を立てると、初日から破綻します。
この記事は、直前1週間を「気合いを入れる期間」ではなく「使える時間が確定している期間」として扱う組み立て方です。結論を先に書くと、直前期にやることは増やす作業ではなく、絞る作業でした。
🗂 目次
まず、その週に何時間使えるかを確定させる
直前週の計画は、使える時間の総量を出すところから始めます。やることは3つの引き算です。
| 引くもの | 私の場合 |
|---|---|
| その週の授業の拘束時間 | 週によって12.8〜23.2時間 |
| 睡眠(削らないと決めている) | 週53時間(1日7.6時間) |
| 移動・食事・生活 | 固定で見積もる |
睡眠を最初に引くのが要点です。私は直前期に睡眠を削って失敗したことがあります。削った当日は乗り切れますが、効いてくるのは2〜3日後で、そのときには原因が睡眠だと自分でも分からなくなっています。試験当日に効いてきたら取り返しがつきません。
拘束時間を先に見るのは、直前週が重い週に当たることがあるからです。試験は学期の中盤や終盤に置かれることが多く、そこは授業も忙しい時期です。「直前だから時間がある」という前提は、時間割の上では成立しません。

出題範囲を「項目数」で棚卸しする
次にやるのが範囲の棚卸しです。ここで大事なのは、ページ数ではなく項目数で数えることでした。
私の学期では、試問の出題範囲がリストとして配られます。実際に数えたところ、1回目が133項目、2回目が246項目ありました。この「項目」が、実際に問われる単位です。
ページ数で数えると実態が見えません。1ページに5項目ある部分と、3ページで1項目の部分が混ざっているからです。項目数で数えると、そのまま「あと何個潰せばいいか」になります。
棚卸しのとき、私は各項目を3つに仕分けます。
- ◯ ―― 説明できる(声に出して言える)
- △ ―― 見れば分かるが、何もない状態からは出てこない
- × ―― 手をつけていない
この仕分け自体に時間がかかると思われがちですが、1項目につき数秒です。説明できるかどうかは、やってみればすぐ分かります。133項目でも30分ほどで終わりました。
項目数を使える時間で割ると、方針が決まる
ここが直前期の計画の中心です。残っている項目数を、使える時間で割ります。
たとえば△と×が合わせて80項目残っていて、使える時間が20時間なら、1項目あたり15分です。この数字が出た瞬間に、取れる戦略が決まります。
| 1項目あたりの時間 | 取るべき方針 |
|---|---|
| 30分以上ある | 理解から入れる。×も拾える |
| 10〜20分 | △を◯にすることに集中。×は捨てる覚悟を持つ |
| 5分未満 | 頻出の項目だけに絞る。全項目は諦める |
△を先に潰すのが、ほぼ常に正解でした。△は「あと一歩」の状態なので、単位時間あたりの得点上昇が大きい。×をゼロから積み上げるのは時間がかかるうえ、直前期の記憶は不安定です。
この割り算をしていなかった頃、私は×から手をつけていました。不安が大きい順に触るからです。結果として、時間を一番使った範囲が一番身についていないという状態になりました。不安の大きさと、投資効率は一致しません。

新しい教材に手を出さない ― 特に直前期は検品ができない
「直前期に新しい教材を始めるな」はよく言われます。私はこれに、もう一つ実務的な理由を足したいです。直前期は、その教材が正しいかを確かめる時間が無いからです。
私は、上の学年から受け継がれてきた過去問ファイルを使っています。2,506問あり、そのうち290問を1問ずつ検証したところ、16問(約5.5%)で答えが間違っていました。学生が作った答えなので、一定の割合で誤りが混ざります。
18問に1問です。時間に余裕があるうちなら、食い違ったときに教科書で確認できます。ところが直前期は確認する時間がありません。そして直前に覚えたことは、疑いなくそのまま試験に持ち込まれます。
だから私は、使う資料の検品は直前期より前に済ませておくことにしました。直前1週間に触るのは、すでに検品が済んでいて、自分の印が付いているものだけです。
新しい教材が魅力的に見えるのは、たいてい不安なときです。不安を減らす目的で教材を増やすと、検品されていない情報が増えるだけでした。増やすなら、時間がある時期にやるべきです。
出題形式の確認は、直前ではなく最初にやる
範囲と並んで確認しておくべきなのが、出題の形式です。ここを直前に知ると、解き方を変える時間がありません。
私の場合で言うと、試験は多肢選択なのですが、正解が1つとは限りません。手元の過去問で正解の個数を数えたら、こうなっていました。
| 正解の個数 | 問題数 |
|---|---|
| 1つ | 89 |
| 2つ | 100 |
| 3つ | 82 |
| 4つ(全部) | 23 |
正解が1つの問題は3割程度で、最も多いのは2つでした。この分布を知らずに「一番それらしいものを1つ選ぶ」癖で解くと、構造的に落とします。
解き方を「選択肢を1つずつ独立に○×判定する」形に変える必要があるのですが、これは直前週に切り替えられるものではありません。時間配分の感覚が変わるので、練習の段階から同じ形でやっておく必要があります。
だから形式の確認は、範囲の棚卸しより前 ―― 学期の早い段階に済ませておく作業だと考えています。直前1週間にやるのは、その形式で解く練習の仕上げだけです。
私の直前1週間の日割り
実際の日割りです。ただし前述のとおり、その週の拘束時間によって全体量は変わります。順番だけが固定で、量は可変という形にしています。
| 日 | やること |
|---|---|
| 7日前 | 時間割を見て使える時間を確定。範囲を項目数で棚卸し |
| 6〜4日前 | △を潰す。声に出して説明できるかで判定 |
| 3〜2日前 | 残った△と、拾える×。ここで捨てる項目を確定 |
| 1日前 | 新しいことはやらない。◯の維持と、間違えやすい対の確認 |
「3〜2日前に捨てる項目を確定する」を明示的に入れているのが要点です。捨てる判断を前日まで先延ばしにすると、最後まで全範囲を薄く触ることになります。捨てると決めた項目は、以後まったく見ません。
1日前の「間違えやすい対の確認」というのは、名前が似ていて紛らわしいものだけを並べて見る作業です。過去問の答えの誤りを検証したとき、間違いの型で一番多かったのが「名前が似た別物の取り違え」でした。答えを作った人が間違えるということは、自分も間違えるということです。ここは直前に効きます。
前日と当日の朝にやること
前日の夜は、持ち物の準備と、翌朝やることを1行書いて終わりにします。勉強はしません。
前日に詰め込まないのは、その日に得られる分より、睡眠を削って失う分のほうが大きいと判断しているからです。前述のとおり、睡眠は最初に引く項目にしてあります。
当日の朝は、起床時刻を変えません。私は普段から曜日によって起床を変えない設計にしているので、試験の日も同じです。特別な日にだけリズムを変えると、その特別さ自体が緊張の材料になります。
朝に見るものも決めてあります。前日に用意した「間違えやすい対」の一覧だけ。新しい範囲は見ません。朝に知らないことを見つけると、それが試験中ずっと引っかかります。

試験が終わった直後に、5分だけ使う
最後に、直前期の話からは外れますが、ここを含めて1セットだと考えています。試験が終わった直後、答えられなかった箇所を書き出します。
理由は、詰まった箇所が一番鮮明なのが直後だからです。帰宅してからでは半分忘れています。翌日にはほとんど残っていません。
私の場合、時間割を見ていて偶然分かったのですが、試問の直後に校舎を移動する45分の空きが入っていました。ここをこの記録の枠に充てています。もともと何もしていなかった時間なので、何かを削る必要がありません。
この記録は、次の範囲の勉強の出発点になります。試験は乗り切って終わりではなく、次の周期の入口だと考えるようになってから、直前期の焦り方が少し変わりました。
❓ よくある質問
Q1. 直前に睡眠を削るのは本当に駄目ですか?
Q2. 捨てる項目はどう選びますか?
Q3. 棚卸しに時間を使うのはもったいなくないですか?
Q4. 直前週に授業を休むのはありですか?
※ 見出しをタップすると続きが開きます。
まとめ
- 最初に見るのは参考書ではなくその週の時間割。拘束は12.8〜23.2時間と1.8倍振れる
- 睡眠(週53時間)を先に引いてから、残りを配分する
- 範囲はページ数ではなく項目数で棚卸しする(私の場合133項目・246項目)
- 項目数 ÷ 使える時間で方針が決まる。△を先に潰すのがほぼ常に正解
- 新しい教材を入れない ―― 直前期は検品ができないから(手元の過去問は約5.5%が誤答だった)
- 2〜3日前に「捨てる項目」を確定する。前日まで延ばすと全範囲を薄く触って終わる
- 前日は勉強しない。当日の朝も起床時刻を変えない
直前1週間を「どれだけ詰め込めるか」の期間だと思っていた頃は、毎回同じように焦って、毎回同じように間に合いませんでした。使える時間と残っている項目数を先に数えると、そもそも間に合う量なのかが分かります。
間に合わないと分かったときにやることは、速度を上げることではなく捨てる範囲を決めることでした。これは直前期に入る前に知っておきたかったと思っています。


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