気分が落ちた日の話を書くとき、たいてい「そういう日もある」から始まります。でも自分の学期の予定と、住んでいる場所の日照を数字にしてみて、考えが変わりました。落ちやすい時期のかなりの部分は、事前に分かります。
私が住んでいるのは高緯度の土地で、昼の長さは9月1日の13時間57分から、冬至には6時間43分まで縮みます。学期の時間割のほうも、週の拘束が12.8時間から23.2時間まで1.8倍振れます。この2つを重ねると、きつくなる時期がカレンダー上に現れます。
この記事は、予測できる部分は先に手を打ち、予測できない部分は戻り方だけ決めておくという整理の記録です。落ちないようにする話ではありません。落ちる前提で組む話です。
🗂 目次
落ちやすい時期は、カレンダーの上に出ている
日照と時間割を計算して出てきた「要注意日」は、具体的にこうでした。
| 時期 | 何が起きるか | 先に打つ手 |
|---|---|---|
| 秋分の前後 | 昼が1日4.8分ずつ短くなる(東京の2倍以上) | 暗くなる前に光の準備を済ませる |
| 10月25日の週 | 夏時間が終わり、日の入りが一晩で1時間2分早まる | 夕方の予定を昼へ動かす |
| 拘束23.2時間の週 | 平均より4.6時間多い。自習に回す余地が消える | 週の頭に短縮版へ切り替える |
| 12月 | 授業日78日のうち27日が暗い中での出入りになる | 昼の空き時間に屋外へ出る枠を固定 |
この表を作って何が変わったか。「なぜか気分が乗らない」が「10月末だからだ」に変わりました。原因が分からない不調は、自分の問題として積み上がっていきます。原因に名前が付くと、対処するか、通り過ぎるのを待つかを選べます。
高緯度地域では季節性の気分の変動が知られていて、日照の減少がそこに関わることも分かっています。これは意志の強さの話ではありません。私は自分の緯度の数字を出すまで、そこを混同していました。

落ちた日の「最低ライン」を先に決めておく
予測できない日もあります。そのための備えが最低ラインです。私が決めているのは3つだけです。
- その日の実習の予習だけはやる(昼の空き時間に置いてある)
- 睡眠を削らない
- 食事にたんぱく質を1品足す
少なすぎるように見えますが、意図的にそうしています。最低ラインは「調子が悪い日でも確実に達成できる量」でなければ機能しません。達成できない最低ラインは、落ちている日にもう一つ失敗を足すだけです。
この3つを選んだ基準は「翌日以降に効くかどうか」でした。予習を落とすと翌日の実習が丸ごと無駄になり、睡眠を削ると翌日も落ちたままになります。その日の損で止まるものは落としてよく、翌日に波及するものだけを残すという分け方です。
「やらないこと」も先に決めておく
最低ラインと同じくらい効いたのが、こちらでした。落ちている日に絶対にやらないことを決めてあります。
- 計画を立て直さない ―― 落ちている日に組んだ計画は、たいてい過剰か過小になる
- 大きな判断をしない ―― 進路や方針に関わることは、必ず後日に回す
- 自分の記録を見返して評価しない ―― 抜けを探す作業は、落ちている日にやると別の意味になる
3つ目は自分の失敗から入れました。記録は抜けを見つけるために取っているのに、落ちている日に見ると「できていない証拠集め」になります。同じデータが逆向きに働きます。だから見る日を決めて、それ以外の日は開かないようにしました。
原因は、そのときではなく記録から分かる
具体例を一つ書きます。私はトレーニングを15日間まったくやらなかった時期があります。当時の自分の説明は「試験が近くて忙しかったから」でした。
後で記録アプリを時系列で並べたら、順番が逆でした。忙しくなる前の週に、全部のセットを限界まで追い込んでいました。止まった原因は時間ではなく、その前に自分で作った消耗のほうでした。
ここから学んだのは、落ちている最中に原因を考えても、たいてい間違えるということです。その瞬間に思いつく理由は、いま目の前にあるもの(締切、忙しさ)に引っ張られます。実際の原因は数日前にあることが多い。
だから今は、落ちている最中に分析しません。記録だけ残して、回復してから並べ直します。この順序にしてから、同じ落ち方を繰り返す回数が減りました。
兆候は気分ではなく、行動に先に出る
落ちる前に気づけるかどうか。私の場合、気分より先に行動のほうが変わっていました。記録を並べて初めて分かったことです。
トレーニングの記録で言えば、こうなっていました。
| 記録に出ていた変化 | 意味していたこと |
|---|---|
| 種目数が10種目から3種目まで振れる | 一定の形を保てなくなっている |
| 4週間で上半身12回に対し下半身4回 | きつい項目から順に落ちている |
| 直近3回で背中と肩の種目が消える | 余力が無くなり、楽な形に縮んでいる |
どれも「気分が落ちた」とは別の形で現れています。自分では普通にやっているつもりでした。数えるまで、種目が減っていることにすら気づいていません。
この経験から、今は気分ではなく「いつもやっていることが縮んでいないか」を見るようにしています。気分は自己申告なので、落ちているときほど正確に測れません。行動の記録は、本人の解釈が入らないぶん当てになります。
見るのは月に一度で十分でした。4週間分を部位別に数えるだけで5分もかかりません。前述のとおり落ちている最中には見ないので、月末など日を決めて確認しています。
人と会う予定は、先に入れておかないと消える
海外で一人暮らしをしていると、ここが構造的な問題になります。家族が近くにいないので、意識して予定を入れない限り、人と話さない週が普通に成立します。
しかも私の時間割は、拘束が週12.8〜23.2時間と振れます。重い週は予定を入れる余裕がなく、軽い週は「今週は勉強を進めよう」となる。結果として、どちらの週にも人と会う予定が入らないという状態になりがちでした。
対策は単純で、余ったら会うのをやめて、先に入れることにしました。私は日曜の午後を毎週固定で空けてあります。空いた枠に何を入れるかはその週次第ですが、枠そのものは予定として存在しているので、忙しさに削られません。
これは気分転換の話というより、落ちたときに気づいてくれる人がいる状態を保つための仕組みだと考えています。自分の不調は自分では見えにくい。前述のとおり記録は月に一度しか見ませんが、人と会っていれば、記録より早く指摘されることがあります。
自力で扱う範囲と、そうでない範囲の線
ここまでは生活の工夫の話です。工夫で扱えない範囲があるので、線を先に引いてあります。私が使っている基準は2つです。
- 気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続いている
- 授業に出る・食べる・眠るといった日常の機能が明らかに落ちている
どちらかに当てはまるなら、光や睡眠の工夫で粘る段階ではなく、大学の学生相談窓口や医療機関に相談する段階だと決めています。季節性の気分の変動は治療の対象になりますし、そうでない場合も同じです。
線を先に引いておく理由は、落ちているときに判断したくないからです。基準がないと「まだ大丈夫」を無限に延長できてしまいます。数字にしておけば、当てはまるかどうかを確認するだけで済みます。

ここに書いているのは私が自分に対して決めている基準であって、診断の指標ではありません。つらさが続くときは、早めに医療機関や学生相談の窓口に相談してください。
戻すときは段階を踏む
落ちた期間が終わったあと、いきなり通常運転に戻すとまた落ちます。私は数日かけて項目を足していく形にしています。
順番は決めてあります。睡眠 → 食事 → 運動 → 自習量の順に戻します。最後が自習量なのは、ここを最初に戻すと他が全部崩れるからです。実際、以前は自習から戻そうとして、2日で元に戻っていました。
戻す速度の目安も持っています。落ちていた日数と同じくらいの日数をかけて戻す。3日落ちたら3日かけて戻す。急ぐと、たいてい同じ場所でもう一度落ちます。
❓ よくある質問
Q1. 落ちる時期が分かると、本当に楽になりますか?
Q2. 最低ラインが3つだけで足りますか?
Q3. 海外にいると相談先が分かりません
Q4. 記録を見るのがつらいときは?
※ 見出しをタップすると続きが開きます。
まとめ
- 落ちやすい時期の一部は日照と時間割から予測できる(秋分前後・10月25日の週・拘束23.2時間の週・12月)
- 最低ラインは3つだけ。基準は「翌日に波及するかどうか」
- やらないことも決める ―― 計画の立て直し・大きな判断・記録の見返し
- 原因は落ちている最中には分からない。記録を残し、回復してから並べる
- 2週間と日常の機能を線として先に引いておく
- 戻すときは睡眠 → 食事 → 運動 → 自習量の順に、落ちた日数と同じだけかけて
気分の波を自分の性格の問題として扱っていた頃は、対策のしようがありませんでした。緯度と時間割という外側の要因に切り分けたら、そのうちいくつかは日付が付いた予定に変わりました。予定なら準備できます。残った部分についてだけ、戻り方を用意しておけば十分だと考えています。


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