「ノートアプリに全部まとめたほうがいいのか、それとも紙に書いたほうが覚えられるのか」。勉強の道具については、誰もが一度は迷うところだと思います。
私自身、医学部に入ってから何度も環境を作り直してきました。全部を紙でやろうとした時期も、逆に全部をタブレットに集約した時期もあります。そのどちらもうまくいかず、今は三つの道具を役割で分ける形に落ち着きました。今日はその中身と、失敗から学んだことを具体的に書いていきます。
🗂 目次
📌 この記事でわかること
- 紙・PDF・ノートアプリを役割で分ける具体的な基準
- 講義スライドへの書き込みを3種類に絞る運用
- 破綻しないフォルダ設計と、検索できる命名ルール
- 全部デジタルにして失敗した経験と、そこから学んだこと
紙・PDF・ノートアプリを「役割」で分ける
結論から言うと、勉強環境で迷ったときの答えは「どれか一つに統一する」ではなく、三つを役割で分けることだと私は考えています。紙は思考を広げるため、PDFは講義そのものを追うため、ノートアプリは知識を貯めて検索するため。用途がはっきりしていれば、道具選びで悩む時間そのものがなくなります。
医学部の勉強は、扱う情報量が他の分野と比べても多いほうだと思います。講義スライドは1コマで数十枚、それが週に何コマもある。全部を紙に印刷するのは現実的ではありませんし、かといって全部を画面上で完結させようとすると、今度は思考が浅くなる感覚がありました。
私が今の形に落ち着くまでには、何度か失敗しています。この記事では、その過程で分かったことを順番に整理していきます。
紙が向いている作業、デジタルが向いている作業
まず、それぞれの得意分野を整理しておきます。ここがあいまいなまま道具を増やしても、結局どこに何を書いたか分からなくなるだけです。
| 作業 | 向いている媒体 | 理由 |
|---|---|---|
| 構造を図で描いて整理する | 紙 | 線を引く・矢印を足す・書き殴るのが速い |
| 暗記の反復(自己テスト) | ノートアプリ | 検索・並べ替え・繰り返しの記録が残る |
| 講義スライドへの書き込み | 元資料と自分のメモが1つのファイルにまとまる | |
| 解いた問題の記録 | ノートアプリ | 後から「間違えた問題」だけを抽出できる |
| 考えがまとまらないときの整理 | 紙 | レイアウトの自由度が高く、思考を止めずに書ける |
| 数か月後に見返す資料 | ノートアプリ | 紙は物理的に探せなくなるが、デジタルは検索できる |
この表を作ってから、私は「今から何をするか」で自然に媒体を選べるようになりました。逆に言うと、以前は作業内容ではなく気分で道具を選んでいたのだと思います。

特に「構造を図で描く」作業は、今でも紙が圧倒的に速いと感じています。解剖の走行や病態のフローチャートは、書きながら形が変わっていくものなので、消して描き直す自由度が高いほうがいい。タブレットのペンでも近いことはできますが、私は紙のほうが手が止まらないと感じています。
講義スライドPDFへの書き込み運用
医学部の勉強で中心になるのは、やはり講義スライドです。私はこれを印刷せず、すべてPDFのまま扱っています。
書き込みに使っているのは iPad Air 4 と Apple Pencil 第2世代です。どちらも数世代前のモデルで、いま同じ構成を揃えるなら現行のiPad Air(M4)と、これに対応するApple Pencil Proの組み合わせになります。第2世代のペンは新型の Air では動かないので、本体とペンはセットで対応を確認してから買ってください。画面は11インチで足りています。13インチは実習室や図書館の机で広げにくく、持ち歩く前提なら大きすぎると感じました。
ポイントは、書き込みの種類をあらかじめ決めておくことです。私の場合は次の3種類だけに絞っています。
- 黄色のマーカー:教授が「試験に出る」と明言した箇所
- 赤の下線:自分が理解できていない箇所(後で調べる)
- コメント欄:口頭で補足された内容。スライドに書かれていない情報だけを残す
色や記号を増やしすぎると、あとで見返したときに何を意味していたか分からなくなります。3種類までに抑えると、数週間後に開いても迷いません。
もう一つ大事にしているのが、講義中に完璧なメモを取ろうとしないことです。講義中の私の仕事は「後で調べるべき場所に印をつけること」だと割り切っています。理解そのものは講義後に回したほうが、結果的に速く終わります。
ノートアプリのフォルダとタグ設計
ノートアプリで一番失敗しやすいのが、フォルダを細かく作りすぎることです。私も最初、科目ごと・章ごと・週ごとに階層を切っていましたが、3か月で破綻しました。どこに入れるべきか毎回迷い、そのうち入れなくなるからです。
今は次のようにしています。
- フォルダは科目単位まで。それ以上は切らない
- 章や単元はタグで表現する。1つのノートに複数タグをつけられるので、分類に迷わない
- 「未整理」フォルダを1つ作っておく。迷ったら全部ここに入れて、週末にまとめて振り分ける
この「未整理」フォルダの存在が、私にとっては一番効きました。分類に迷った瞬間に手が止まるのが問題だったので、迷ったときの逃げ道を用意しておくだけで、記録が続くようになります。
検索できる状態を保つ命名ルール
デジタルの最大の利点は検索できることですが、それは検索に引っかかる名前をつけていればの話です。「メモ1」「講義ノート」といった名前ばかりだと、結局どこにも辿り着けません。
私が使っているのは、次のような簡単なルールです。
- ファイル名の先頭に日付を入れる(例:2601_解剖_上肢の筋)
- 科目名は略さず統一する。同じ科目を別の書き方で書かない
- 内容を表す語を必ず1つ入れる。「まとめ」「メモ」だけで終わらせない
- 自分が後で検索しそうな言葉を、本文の最初の数行に書いておく
最後の項目は地味ですが効果的です。検索は本文も対象になるので、冒頭に「この資料は何か」を一文で書いておくだけで、数か月後の自分が確実に見つけられるようになります。

同期とバックアップ ― 壊れる前提で組む
海外で暮らしていると、機器のトラブルはより面倒なことになります。修理に出せば時間がかかりますし、その間の勉強を止めるわけにはいきません。だから私は、いつ壊れてもいい前提で環境を組むようにしています。
- ノートアプリはクラウド同期があるものを選ぶ。端末が1台使えなくなっても続けられる
- PDFと書き込みは、クラウドストレージに置いてローカルにも残す
- 学期末など区切りのタイミングで、丸ごと別の場所にコピーを取る
「バックアップを取る」と決めても、日々の運用の中では忘れます。だから私は、学期の終わりというはっきりした区切りに紐づけるようにしました。行動を思い出す必要のない仕組みにしておくのがコツです。
失敗談 ― 全部デジタルにして効率が落ちた話
一時期、私は「紙をゼロにすれば最も効率的なはずだ」と考えて、すべてをタブレットに集約したことがあります。結果は、思っていたのと逆でした。
一番困ったのは、複数の資料を同時に見られないことでした。解剖の勉強では、図と説明文と自分のメモを並べて見たい場面が頻繁にあります。画面の中で切り替えていると、そのたびに思考が途切れる。紙のノートを横に置いておくだけで、この問題は消えました。
もう一つは、集中の質です。同じ端末に通知も動画も入っている以上、意識のどこかがそちらに向いてしまう。今は「考えをまとめる時間は紙と机だけ」と決めて、端末を手の届かない場所に置くようにしています。

結局のところ、デジタルかアナログかという二択で考えたことが失敗の原因でした。道具はそれぞれ得意な仕事が違うだけで、優劣の問題ではないのだと思います。
❓ よくある質問
Q1. 結局、ノートアプリは何を使えばいいですか?
Q2. 紙のノートは何冊も作るべきですか?
Q3. 講義中にタイピングと手書き、どちらがいいですか?
Q4. 整理する時間が取れないときは?
※ 見出しをタップすると続きが開きます。
まとめ
- 道具は「どれか一つ」ではなく、作業内容で使い分ける
- 講義中の仕事は理解ではなく「後で調べる場所に印をつけること」
- フォルダは科目単位まで。迷ったら「未整理」に入れて後で振り分ける
- 検索できる名前をつけて初めて、デジタルの利点が生きる
- 機器はいつ壊れてもいい前提で、同期とバックアップを組んでおく
勉強環境は、一度作ったら終わりではなく、学年が上がるにつれて必要なものも変わっていきます。それでも「作業内容で道具を選ぶ」という基準さえ持っておけば、次に環境を作り直すときも迷わないはずです。まずは今日の講義スライドから、書き込みの色を3種類に絞ってみてください。


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