病棟実習が始まると、問診や声かけだけでなく「カルテに何をどう書くか」でもつまずきます。特に英語でカルテを書く環境だと、日本語の感覚で書くと全然通じない言い回しが山のようにあります。
今回はSOAP形式(Subjective・Objective・Assessment・Plan)を軸に、実習で実際によく使うカルテ表現をフレーズカードでまとめます。
カルテ英語は文章力より「型」の暗記で書ける
結論から言うと、カルテ英語は凝った文章力がなくても、SOAP(Subjective・Objective・Assessment・Plan)という型に単語を差し替えて使い回すだけで、実習の記録は十分に書けるようになります。
病棟実習が始まると、問診や声かけだけでなく「カルテに何をどう書くか」でもつまずきます。日本語の感覚で書こうとすると、英語カルテ特有の言い回しに全然合わないことがよくあります。今回はSOAPの型を軸に、実習でよく使う表現をフレーズカードでまとめます。
S(Subjective・主観情報)
患者本人の訴えを書く部分です。「本人が言った内容」であることが伝わる動詞を選ぶのがポイントです。
Patient reports intermittent chest pain for 3 days.
ペイシェント リポーツ インターミテント チェスト ペイン フォー スリー デイズ
患者は3日前からの間欠的な胸痛を訴える。
💡 「訴える」は complain of も使うが、reports の方が中立的でカルテ向き
No known drug allergies (NKDA).
ノー ノウン ドラッグ アラジーズ
既知の薬物アレルギーなし。
💡 NKDA は頻出略語。カルテにそのまま書かれることが多い
Denies fever, nausea, or vomiting.
ディナイズ フィーヴァー、ノージア、オア ヴォミティング
発熱・嘔気・嘔吐は否定。
💡 denies は「本人が否定している」というニュアンスの定番動詞
O(Objective・客観情報)
バイタルや診察所見など、自分が観察・測定した内容を書く部分です。
Vitals: BP 128/76, HR 78, RR 16, T 36.8°C.
ヴァイタルズ:ビーピー、エイチアール、アールアール、ティー
バイタル:血圧128/76、脈拍78、呼吸数16、体温36.8度。
Alert and oriented x3.
アラート アンド オリエンティッド タイムズ スリー
意識清明、見当識(人・場所・時間)すべて保たれている。
💡 oriented x3 は定型表現。x3 は人・場所・時間の3項目という意味
Abdomen soft, non-tender, bowel sounds normal.
アブドメン ソフト、ノンテンダー、バウエル サウンズ ノーマル
腹部は軟らかく圧痛なし、腸蠕動音は正常。

A/P(評価・計画)
自分の評価と、これからどうするかを書く部分です。
Impression: likely viral gastroenteritis.
インプレッション:ライクリー ヴァイラル ガストロエンテライティス
評価:ウイルス性胃腸炎の疑い。
💡 impression は日常語の「印象」に近いが、カルテでは正式な評価用語として使う
Plan: continue IV fluids, reassess in 4 hours.
プラン:コンティニュー アイヴィー フルーイズ、リアセス イン フォー アワーズ
計画:点滴継続、4時間後に再評価。
| 略語 | フルスペル | 意味 |
|---|---|---|
| NKDA | no known drug allergies | 既知の薬物アレルギーなし |
| BP | blood pressure | 血圧 |
| HR | heart rate | 心拍数 |
| RR | respiratory rate | 呼吸数 |
| Dx | diagnosis | 診断 |
| Hx | history | 既往歴 |
| Rx | prescription | 処方 |
💡 処方箋の「Rx」はラテン語の命令形だった
処方を表す Rx は、ラテン語 recipere(取る・受け取る)の命令形 recipe(取れ)の略だと言われています。かつて処方箋の一番上に「Recipe(以下を調合せよ)」と書いていた名残が、そのまま Rx という記号として今も使われています。
カルテの略語は便利ですが、施設や科によって使う範囲が違います。慣れないうちはフルスペルで書き、指導医の書き方に合わせていくのが無難です。
よくある質問
SOAPって全科共通?
基本の型はどの科でも共通ですが、Oで重視するポイント(バイタル中心か、専門的な診察所見中心かなど)は科によって変わります。
略語はどこまで使っていい?
施設のスタイルに従うのが大前提です。初心者のうちはフルスペルで書き、指導医やカルテのテンプレートに合わせていくのが無難です。
主観と客観の境界が曖昧なときは?
患者本人の発言はS、自分が測定・観察した所見はOと機械的に分けると迷いにくくなります。
まとめ
- カルテ英語はSOAPの型を覚えれば書ける
- 略語は施設・指導医の書き方に合わせるのが無難
- Rxの語源はラテン語recipe(取れ)の命令形
カルテ英語は特別な文章力がいるわけではなく、型に単語を当てはめる作業がほとんどです。まずはこの記事のフレーズをそのまま使えるところから、少しずつ自分の言葉に置き換えていけば十分です。
この記事は学習中の一学生の記録であり、実際の臨床記録の書式・表現は施設や科によって異なります。実習先の指導・規定に従ってください。


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