苦手科目を後回しにしない仕組み ― 一番重い科目は、数えたら73コマ65.2時間だった

学習システム化

「苦手科目は先に手をつけろ」は、たぶん正しい助言です。私も何度も読みました。ただ、実行できなかった理由は意志の弱さではなく、そもそも「どれが苦手か」を感覚で決めていたことにありました。

学期の時間割を全部集計してみて、それがはっきりしました。1学期216コマ・297.8時間を科目別に分けたら、上位3科目がこうなっていたのです。

科目コマ数時間
生化学73コマ65.2時間
解剖学40コマ60.0時間
組織学40コマ60.0時間

最も重い生化学が、そのまま私にとって一番きつい科目でした。偶然ではないと思います。分量が多いから消化が追いつかず、追いつかないから苦手になる。苦手なのは性質ではなく、量の問題だった可能性が高い。

苦手かどうかを、感覚ではなく時間で判定する

数える前、私が「苦手」と認識していた科目は、直近の授業で分からなかった科目でした。つまり判定が毎週入れ替わります。

この判定には問題があります。直近の印象は、その週の内容の難しさに引っ張られるだけで、学期を通した負担とは関係がありません。今週の解剖が難しかったから解剖が苦手、と判定していたら、来週には別の科目が苦手になります。

今は2つの数字で判定しています。

  • 時間割上のコマ数 ―― 学期を通して何時間拘束されるか
  • 1コマあたりに必要な自習時間 ―― 授業についていくのにどれだけ足すか

この2つを掛けると、その科目が学期全体で要求してくる総量が出ます。感覚での「苦手」と、この数字での「重い」は、私の場合ほぼ一致しました。ただし数字のほうは週ごとに揺れません。だから計画に使えます。

苦手科目の答案を見て落ち込む学生のイラスト

上位3科目で62% ― 均等配分は最初から成立しない

集計してもう一つ分かったことがあります。上位3科目だけで185.2時間、全体297.8時間の62%を占めます。

この構造だと、「全科目にまんべんなく時間を配る」という計画は最初から破綻します。時間割の側がすでに偏っているのに、自習だけ均等にしても釣り合いません。

私はここで、自習時間の配分も時間割の比率に寄せることにしました。生化学が最も重いなら、自習も生化学が最も多い。当たり前に見えますが、以前は逆でした。きつい科目ほど手が伸びず、結果として時間配分が時間割と逆向きになっていたのです。

逆向きになっていることに気づけたのは、数えたからでした。感覚では「苦手科目もそれなりにやっている」と思っています。実際には、着手までの時間が長く、1回あたりも短い。合計すると差は大きくなります。


「先に手をつける」を、朝ではなく移動の45分に置いた

ここが、この記事で一番書きたい部分です。「一番気が重いタスクを一番最初に置く」という助言を、私は朝いちばんに置くものだと解釈していました。うまくいきませんでした。

理由は単純で、朝の枠には別の役割をすでに与えていたからです。私は朝の30分を語学に固定しています。ここに苦手科目も入れると、どちらも中途半端になります。

そこで時間割をもう一度見て、別の固定枠を探しました。見つかったのがこれです。

校舎を移動する日の、乗り継ぎの45分。学期中に9回、合計6時間45分。

前の授業が終わってから、別の校舎で次が始まるまでの45分です。中途半端な長さで、腰を据えた勉強には向きません。そして重要なのは、この45分が「もともと何もしていなかった時間」だということです。

苦手科目をここに置いた理由は3つあります。

  • 45分で終わる ―― 終わりが決まっているので、始めるハードルが低い
  • 他の予定を削らない ―― 何かを犠牲にしていないので、罪悪感が発生しない
  • 強制的に終わる ―― 次の授業が始まるので、だらだら続かない

2つ目が特に効きました。苦手科目に時間を割くとき、「その時間で得意科目を進められたのに」という気持ちが着手を邪魔します。もともと空いていた枠なら、その比較が発生しません。

「一番最初に置く」の本質は、時刻ではなく「他の予定に押し出されない場所に置く」ことだったのだと思います。朝はその一例にすぎません。自分の時間割の中で、押し出されない枠を探すほうが本質に近い。

優先順位を整理するイラスト

「触るだけ」でよい日の基準を決める

45分の枠に置いたとはいえ、進まない日はあります。ここで「触るだけでよい」を明確な基準として置いておくことにしました。

私の基準は、その週の授業の拘束時間が20時間を超えているかどうかです。私の週は12.8時間から23.2時間まで1.8倍振れるので、重い週は最初から「触るだけ」に切り替えます。

「触るだけ」の中身も決めてあります。

  • 前回どこで詰まったかのメモを読む
  • 用語を3つだけ言えるか確認する
  • 次にやる箇所を1行書いて閉じる

5分もかかりません。目的は前進ではなく、接触を切らさないことです。苦手科目は一度離れると再開のコストが跳ね上がります。毎週触れていれば、そのコストが積み上がりません。

気分で決めないのが要点です。体調や気分で判断すると、苦手科目は毎回「今日は触るだけ」になります。時間割の数字を基準にすれば、判断に自分の好みが入りません。


苦手科目の分解は「章」ではなく「詰まる場所」で切る

苦手科目を小さく分けるという話もよく出ます。私も最初は章単位で分けていました。これは失敗でした。

章は書いた人の都合で区切られていて、自分がどこで詰まるかとは無関係です。1章の中に、すんなり進む部分と、まったく理解できない部分が混ざっています。章単位で「今日は3章」と決めると、詰まった時点で止まり、残りが手つかずになります。

今は詰まる場所で切っています。やり方は単純で、読んでいて手が止まった箇所に印を付け、その印を単位として扱います。

切り方起きること
章で切る詰まった時点で止まり、進捗が0になる
詰まる場所で切る1つ潰すたびに進捗が1つ増える

この切り方にすると、「詰まる場所が5つある」という形で残量が見えます。章の何ページ目にいるかより、こちらのほうが実態に近い。そして45分の枠には「詰まる場所を1つ潰す」がちょうど収まりました。

生化学のように分量が多い科目ほど、この効果は大きいと感じます。65.2時間ぶんの内容を章で数えると圧倒されますが、詰まる場所で数えると有限のリストになります。



学期の山場を、先に地図に置いておく

45分の枠は接触を切らさないためのものですが、それだけでは足りない時期があります。中間の試問(コロキウム)の直前です。

私の学期では、最重量の生化学に学期中の試問が設定されています。日付は学期の頭に分かっているので、そこから逆算して、その週だけ配分を変えるようにしました。

やっていることは3つです。

時期やること
3週間前出題範囲のリストを手に入れ、詰まる場所を数え出す
2週間前他科目の自習を落として、配分を苦手科目へ寄せる
直前週新しい範囲に手を出さず、残っている印だけを潰す

重要なのは「2週間前に他科目を落とす」を計画として先に書いておくことです。その場で判断すると、落とす決断ができません。どの科目も落としたくないので、結局全部を薄くやって、苦手科目だけが間に合わなくなります。

もう一つ、偶然の発見がありました。時間割を見ていて気づいたのですが、例の移動の45分のうち1回が、試問が終わった直後に入っていました。

ここは今、「答えられなかった箇所を思い出せるうちに書き出す枠」として使っています。試問の直後は、どこで詰まったかが一番鮮明です。帰宅してからでは半分忘れています。次の範囲の勉強は、この記録から始められます。

試験の直後を復習の枠として設計する発想は、時間割を並べるまで出てきませんでした。山場は「乗り切るもの」だと思っていましたが、次の周期の入口でもあると考えるようになりました。

後回しにしてしまった日のリカバリー

仕組みを作っても、飛ばす日はあります。重要なのは、飛ばした翌日に取り返そうとしないことでした。

取り返そうとすると、その日は2回分になります。苦手科目の2回分は重く、たいてい途中で止まります。そして「やっぱり自分にはこの科目は無理だ」という結論だけが残ります。私はこれを何度かやりました。

今のルールは、飛ばした分は消えるです。翌日は通常どおり1回分だけやります。45分の枠は学期中に9回あるので、1回飛ばしても8回残っています。全体から見れば誤差です。

この考え方ができるようになったのも、枠の総数を数えていたからでした。9回あると分かっていれば、1回の欠けは1/9です。数えていないと、1回の欠けが「また続かなかった」という全否定になります。

チェックして確認する人のイラスト

❓ よくある質問

Q1. 苦手科目に時間を使うと、得意科目が落ちませんか?
私が使っているのは、もともと空いていた移動の45分です。他の科目の時間を削っていないので、この問題が起きません。削って捻出しようとすると、削られた側の不安が出て続きませんでした。空き枠を探すほうが先だと思います。
Q2. 45分で本当に足りますか?
足りません。生化学だけで65.2時間ある科目に、6時間45分で対応できるはずがない。この枠の目的は消化ではなく、接触を切らさないことと、詰まる場所を1つずつ潰すことです。本格的な消化は別の時間にやります。ただ、着手できていない状態が一番まずいので、まずここを作りました。
Q3. 移動の45分のような枠が無い場合は?
自分の時間割を並べて、押し出されない枠を探すところから始めるのがいいと思います。条件は「他の予定に削られない」「終わりが自動的に来る」の2つです。授業と授業の間、通学の時間、実習の集合前など、意外と見つかります。私も数えるまで45分が9回あることを知りませんでした。
Q4. 苦手なのは向いていないからでは?
私も一度はそう考えました。ただ数えたら、苦手だと感じていた科目が単に一番コマ数の多い科目でした。分量が多ければ消化が追いつかず、追いつかなければ分からない状態が続きます。向き不向きを判定する前に、量の問題かどうかを確認する価値はあると思います。

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まとめ

  • 苦手かどうかを感覚ではなく時間で判定する。直近の印象は毎週入れ替わる
  • 私の最重量科目は生化学73コマ・65.2時間で、それが一番きつい科目でもあった
  • 上位3科目で62%。均等配分の計画は最初から成立しない
  • 「先に手をつける」の本質は時刻ではなく「押し出されない枠に置く」こと
  • 私が使ったのは移動の45分・学期中9回・合計6時間45分(もともと空いていた枠)
  • 重い週は「触るだけ」に切り替える。基準は気分ではなく拘束時間
  • 分解は章ではなく詰まる場所で切る。残量が有限のリストになる

苦手科目に手をつけられなかった時期、私は自分の性格の問題だと思っていました。時間割を数えたら、原因の半分は配置の問題でした。押し出されない枠が無いところに、一番重いものを置こうとしていた。それでは続きません。

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