医学部の講義で毎日出てくる英語表現 ―「聞き取れない」と「分からない」を切り分ける

英語表現集

英語で行われる医学部の講義に出て最初に驚いたのは、「専門用語より、その間をつなぐ普通の英語のほうが聞き取れない」ということでした。

専門用語は日本語で予習していれば見た瞬間に分かります。それなのに、教授が「では次に移ります」「ここは試験に出ます」と言っている部分をまるごと聞き流していて、後からノートを見返すと話の切れ目が分からない。今日は、私が実際に毎日耳にしている講義の決まり文句を、カテゴリー別に整理してみます。

📌 この記事でわかること

  • 講義の流れをつかむための「決まり文句」30パターン
  • 医学の講義に特有の言い回しと、その使われる場面
  • 聞き取れなかったときに角を立てずに聞き返す表現

講義の英語は「単語」より「決まり文句」で聞き取れるようになる

結論から言うと、講義の英語で最初につまずくのは専門用語ではなく、教授が毎回使う決まり文句のほうです。専門用語は日本語で予習していればスペルを見た瞬間に意味が分かりますが、「では次に移ります」「ここが試験に出ます」といった前後の合図は、耳が慣れていないと丸ごと聞き流してしまいます。

逆に言えば、この決まり文句を30個ほど覚えるだけで、講義全体の流れが一気に追えるようになります。今日はそのうち私が毎日のように耳にするものをまとめました。


講義の進行を示す表現

まずは「今どこにいるのか」を教えてくれる表現です。これが聞き取れると、ノートの見出しを変えるタイミングが分かります。

Let’s move on to the next topic.

レッツ ムーヴ オン トゥ ザ ネクスト トピック

次のトピックに移りましょう。

💡 スライドが切り替わる合図。ここでノートの見出しを変えます。

As you can see here, …

アズ ユー キャン スィー ヒア

ここで見てのとおり、〜

💡 図表を指すときの定番。この直後の一文がその図の要点です。

Let me briefly recap what we covered last time.

レット ミー ブリーフリー リキャップ

前回の内容を簡単に振り返ります。

💡 recap は「要約する」。前回の復習が始まる合図です。

To sum up, …

トゥ サム アップ

まとめると、〜

💡 ここから先はほぼ試験のポイント。集中して聞く価値があります。

Bear in mind that …

ベア イン マインド ザット

〜を覚えておいてください。

💡 「ここ重要」のサイン。Keep in mind も同じ意味で使われます。

オンラインで英語の講義を受けるイメージのイラスト

課題・指示の表現

次に、課題やレポートの指示で出てくる表現です。ここを取り違えると提出期限を落とすことになるので、私は特に注意して聞くようにしています。

Make sure you read chapter 5 before the seminar.

メイク シュア ユー リード チャプター ファイヴ

セミナーの前に第5章を必ず読んでおいてください。

💡 Make sure は「必ず〜して」。やんわり聞こえますが実質は指示です。

You’re required to submit it by Friday.

ユア リクワイアド トゥ サブミット イット バイ フライデー

金曜までに提出することが必須です。

💡 required は「必須」、encouraged なら「推奨」。この差は大きいです。

Please hand in your report at the end of the session.

プリーズ ハンド イン ユア リポート

授業の最後にレポートを提出してください。

💡 hand in = 提出する。submit よりも口語的です。

This will be covered in the exam.

ディス ウィル ビー カヴァード イン ジ イグザム

これは試験範囲に含まれます。

💡 この一文が出たら、私はスライド番号をノートに控えるようにしています。


医学講義に特有の言い回し

ここからは、一般的な英会話ではあまり出てこないのに、医学の講義では毎回のように登場する言い回しです。意味を知らないと、文の骨格そのものが取れなくなります。

表現意味よく使われる場面
presents with …〜を主訴として受診する症例提示の冒頭
is characterized by …〜を特徴とする疾患の定義を述べるとき
is associated with …〜と関連がある危険因子・合併症の説明
is contraindicated in …〜には禁忌である薬物治療の注意点
rule out …〜を除外する鑑別診断の進め方
work-up精査(検査の一連の流れ)診断のプロセス全体を指すとき
the underlying mechanism基礎にある機序病態生理の説明
in the setting of …〜という状況下で症例の前提条件を添えるとき
is indicated for …〜に適応がある治療方針の説明
carries a poor prognosis予後が不良である疾患の見通しを述べるとき

💡 present は「贈り物」ではありません

医学英語の present は「現れる・呈する」という意味で使われます。The patient presents with chest pain. は「その患者は胸痛を主訴として来院した」。

同じ語根から presentation(症状の現れ方)も生まれていて、atypical presentation と言えば「非典型的な症状の出方」を指します。初めて聞いたとき私は「発表?」と混乱しましたが、一度この意味を知ると一気に読みやすくなりました。


聞き取れなかったときに使う表現

最後に、聞き返すための表現です。留学したての頃の私は「聞き返すのが恥ずかしい」と思って黙っていましたが、これは完全に損でした。丁寧に聞き返せる表現をいくつか持っておくだけで、その場で解決できることが本当に増えます。

Could you elaborate on that, please?

クッジュー イラボレイト オン ザット

もう少し詳しく説明していただけますか?

💡 elaborate は「詳しく述べる」。丁寧で角が立ちません。

I didn’t quite catch the last part.

アイ ディドゥント クワイト キャッチ ザ ラスト パート

最後の部分が聞き取れませんでした。

💡 quite が入ることで「まったく分からない」ではなく「少し取りこぼした」という響きになります。

Could you repeat the term you just used?

クッジュー リピート ザ ターム ユー ジャスト ユーズド

今おっしゃった用語をもう一度お願いできますか?

💡 用語だけをピンポイントで聞き返せるので、講義を止めずに済みます。

英単語のイラスト文字

🧠 ミニクイズ:英語で言えますか?

Q1. 「次のトピックに移りましょう」
Let’s move on to the next topic.
move on to 〜 が「〜に移る」。講義の切り替わりの合図です。
Q2. 「これは試験範囲に含まれます」
This will be covered in the exam.
cover は「(範囲を)扱う」。be covered で「範囲に含まれる」。
Q3. 「〜を主訴として受診する」
present with …
The patient presents with fever. のように使います。
Q4. 「〜には禁忌である」
be contraindicated in …
contra(反対)+ indicate(適応)で「適応の逆」= 禁忌。
Q5. 「最後の部分が聞き取れませんでした」
I didn’t quite catch the last part.
catch は「聞き取る」。didn’t catch で「聞き逃した」。

※ 問題文をタップすると答えが開きます。


「聞き取れない」のか「分からない」のかを区別する

外国語で授業を受けていて、最初につまずいたのはここでした。ついていけないとき、その原因が英語なのか内容なのか、自分でも分からない。

原因が違えば対策も違います。英語の問題なら表現を覚えればいい。内容の問題なら教科書に戻るしかない。区別できないまま両方に手を出すと、時間が倍かかります。

区別に使えたのが、録画講義でした。私の学期では録画が38本あり、対面の講義33コマより多いのですが、この録画には決定的な利点があります。止められること、聞き直せること、速度を変えられることです。

試すこと結果原因
速度を落として聞き直す分かるようになった英語(表現を覚える)
速度を落としても同じやはり分からない内容(教科書に戻る)
日本語で説明を読むそれでも分からない内容。前提知識が足りていない

速度を落として分かるなら英語の問題。この判定は単純ですが、かなり正確でした。そして倍速で聞くときの基準にもなります。「内容が難しいのか聞き取れていないのか」の区別がつかなくなった時点で、速度を落とすと決めています。

対面の講義では止められないので、この判定はできません。だから録画がある科目では、録画を使って自分の弱点の所在を先に確かめるようにしています。同じ90分でも、得られる情報が違います。


実習の指示は、講義とは別の語彙で来る

もう一つ、時間割を数えて分かったことがあります。私の学期は実習が145コマで、全体の67%を占めます。講義より実習のほうがはるかに多い。

ここで気づいたのは、実習で使われる英語が、講義の英語とかなり違うことでした。講義は説明の言葉です。実習は指示と確認の言葉です。

場面出てくる言葉の性質
講義説明・論理のつなぎ・因果関係の表現
実習手順の指示・場所の指定・確認の質問
実技の試問短い問い。答えも短く返すことが求められる

実習の言葉は短くて速いのが特徴です。説明ではなく指示なので、繰り返してもらえるとは限りません。しかも手を動かしながら聞くことになります。

ここでの対処は、聞き返す表現を先に用意しておくことでした。聞き取れなかったときに沈黙すると、そのまま進みます。「もう一度お願いします」だけでなく、「どこを、ですか」のように、分からなかった部分を特定して聞き返すほうが速く解決しました。

実技の試問については、答えを短く返す練習が要ります。構造のリストは304項目あり、実習60.0時間で割ると1構造あたり12分程度。長く話す時間はありません。結論を先に一言で言い、求められたら足す。この型を先に持っておくと、詰まりにくくなりました。

❓ よくある質問

Q1. 英語で授業を受けるのに必要な力はどれくらいですか?
聞く・読むについては、授業そのものが練習になるので入学後に伸びます。私の実感として問題になるのは話すほうで、こちらは意識して時間を取らない限り一度も練習が発生しません。授業は聞く側に回る時間が長いからです。
Q2. 講義中にメモを英語で取るべきですか?
私は用語だけ英語で、それ以外は日本語で書いています。用語を訳すと後で戻せなくなるからです。逆に、自分がつまずいた点を書くときは日本語のほうが速く、正確でした。書く目的で言語を分けています。
Q3. 聞き取れなかった講義はどうしていますか?
録画がある科目なら、速度を落として聞き直します。そこで分かれば英語の問題、分からなければ内容の問題と切り分けます。録画が無い科目は、スライドと教科書で内容を先に押さえてから、聞き取れなかった箇所が本当に重要だったかを確認します。
Q4. 周りの学生の英語のほうが速くて焦ります
私もそうです。ただ、実技の試問で求められるのは短い答えなので、流暢さより正確さのほうが効きます。長く話せることと、聞かれたことに一言で答えられることは別の技能でした。後者は練習すれば届きます。

※ 見出しをタップすると続きが開きます。

まとめ

  • 専門用語より先に、講義の進行を示す決まり文句を覚える
  • 「試験に出る」「必須です」を示すサインを聞き分ける
  • 聞き返す表現を持っておけば、その場で解決できることが増える

このシリーズでは、実際の授業で耳にした英語表現を少しずつ紹介していきます。全部を一度に覚える必要はなくて、まずは「進行を示す表現」から耳を慣らしてみてください。それだけで講義の景色がかなり変わります。

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